恋はミラクル 『雪だるまと花屋のおじさんの小さな恋』
あれ・・・何で?

ほんの少し時が止まった気がした。



雪だるまの体が時計の振り子のように動いた気がした。

なんと次の瞬間、唇の薄紅色の弾丸が!

俺に向かって飛んできて、右の頬に直撃!

彼女の方から俺のほっぺに!

彼女の唇が・・・

触わっている。

えっ嘘や?

俺の目が大きく開いて真直ぐ前を向いて固まっている。

何年ぶり?

妻以外にキスされたのは?

結婚してからは始めてだ。

これは夢か?現実か?

おじさんは夢だと思った。

固まった体を無理に解しながら運転席にいる雪だるまを見た。

スパイが任務をはたした後のような安ど感とちょっとした嬉しさが混じった薄っすら笑顔だった。

そのあと、目を合わせるのが恥ずかしそうに

外を見つめ俺の方に向こうとしない。

こんな後どうすればいいのか?

俺は何が何だか解らず、

『じゃ、帰るね。今日は本当にありがとう。』

と言ってヨォ!ゴクウ号から降りた。

彼女は任務遂行の達成感か?

俺が好きな陽だまりのような笑顔を見せ帰って行った。

俺は見送りながらいつまでも手を振った。

まさにドラマのようだった。
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