落下点《短編》
昼間とは思えない真冬のような風があたしの体に吹き付ける。身体の奥底が、ぶるりと震えた。
コートからはみ出た手首。手のひら。
手のひらに触れた風は冷たくて、あたしの体温よりずっとずうっと、冷たくて。
『朋美、今日手ぇ冷たない?』
『そうかなぁ?てか、陣ちゃんのが冷たいやん』
『だって俺、寒がりさんやもん』
それでもよく知りすぎているその温度に。あたしは少しだけ、少しだけ。
泣きそうになった。
【end.】


