窓辺の二人
隣同士。

ご近所な、アイツ

 「よをこめてとりのそらねははかるとも…―」

 秋の夜長、と言ったら聞えがいいかもしんない。
 ま、正直なとこ明日の課題に追われてるだけなんだけど。

 「よにあふさかのせきはゆるさじ!」
 「ん?!」
 「よ!」
 「『よ!』じゃなぁい!」

 私の真後ろで笑ってる変な男が一人。

 「ちょっとどこから入って…」

 笑顔で窓を指差す。またか、コイツは。
 
 「いいじゃん。窓から来れる距離なんだからさぁ」
 「だからって勝手に乙女の部屋に入るか?普通」
 「…乙女?どこ?」
 「早く部屋出てけ」
 「ごめんごめん。わかんねーんだよ、この訳」
 「どこよ?」

 こいつは私の家の真横に住んでる男で、コイツの部屋とは窓で行き来出来るほど近い。 
 だからって今時マンガじゃあるまいし、ほんとに窓からやって来られても迷惑でしょうがない。
 そもそも高校入学ん時に引っ越してきて、知り合ってまだ間もないってのに馴れ馴れしい男なんだ…、けど。
 なんだかんだで気がついたら仲良くなってたし、憎めない奴なんだまたコイツが。
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