天使のいいなり
瑞己じゃなくて、夏目センパイだった。



めったに人が来ない、この場所。
だけど、夏目センパイは私がいるコトに驚きもしない様子。


「里緒ちゃん、大丈夫?」

「もう、すっかり…。病院に来てくれて、ありがとうございます。あと…、変なトコロ見せちゃってスミマセン。」




「ううん。」と言いながら、夏目センパイは首を横に振る。


「ココに来れば、里緒ちゃんに会えるって、そんな気がしたんだ。」

「………私に?」

「この場所で、里緒ちゃんと話がしたかったんだ。」



夏目センパイが私を見つめる。
とても穏やかな笑顔。

ドキドキもするけど、見てるとなんだか落ち着く笑顔。
ずっと、見ていたい。


「俺さ、里緒ちゃんが大変なトキに、不思議な夢見たんだ。まるで本当にあったみたいで…。俺の前に男の子が現れて、友達になってほしいって言われるんだ。その子と一緒にカレー作ったり、旅行行ったり。一緒にいるのが、すげー楽しくてさ。ある女の子とすんげー仲良いんだ。ポンポン言い合ってる姿見て、羨ましいって嫉妬してるんだけど、なぜか嫌いになれないんだ。むしろ、好きになっていくっていうか…。」






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