愛しいキミへ
布団の上に尻餅をつく。
・・・正直になるだけでいいの?
悠太はまたベッドに横になり布団をかぶった。

「俺の気持ちは本当だからな。いつまでもうじうじしてると…知らねぇぞ。」

おやすみっと言って悠太は話をやめた。
返事はせずに俺も横になる。

悠太に沙菜をとられるのは嫌だ
でも・・・沙菜の気持ちが確かでないし・・・
会いに来ないのは、俺を好きじゃないかもだし・・・

考え出すと止まらず・・・この日は寝付けなかった。


───翌日

悠太に起こされて、出されたパンを食べた。
バイトに行くという悠太と一緒に昼頃、家を出る。

「じゃあな。なんかあったら連絡しろよ。ってか、また遊びにこい!」
「うん。じゃあね悠太!」

昨日から呼び始めたから、悠太と言ってて体がムズッとした。
俺の返事に笑顔で答えて悠太はバイトへと向かう。


・・・ずっと兄でいてくれた悠太。
大人だと思っていたけど、昨日聞いた本心は俺と変わらなかった。
誰かを羨ましく思ったり、見せつけたいと思ったり・・・全然知らなかった悠太の子供な面。

それでも自分の好きな人を誰かのために手放した。

やっぱり悠太は大人だよ。

「悠兄…ありがとう。」

こう呼ぶのはこれが最後。
それでも・・・いつまでも悠太はお兄ちゃんみたいな存在だよ。
いつまでも俺の憧れだ。
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