愛しいキミへ
後悔
季節が変わるのは早い。
気がつくと夏休みは終わり、季節は秋へと変わっていた。

悠太と話してから、何度か沙菜へ連絡をとろうか考えた。
好きな沙菜に会いたい
その想いが正直な気持ちだったから・・・。

でも・・・
卒業式の日に格好つけて「俺からは会いにいかない」と言った手前、どうしても連絡できなかった。
会おうと思えばすぐに会える距離なのに・・・体が動かない。

こんな状態を悠太に言ったら怒られるな・・・
いつもでもうじうじ考えていたら、本当に誰かに沙菜をとられてしまうかもしれない。
それでも動けない俺は情けない奴だ。


大学が終わり、バイトへ向かう。
夏休みにたくさん働いたおかげで仕事はだいぶ覚えた。
同年代のバイトスタッフがたくさんいて、バイトの時間はすごい楽しい。
見たかった映画のDVDがレンタル開始するのがすぐにわかって良い♪

「あっ!藤川くんおはよう♪今日これから?」

事務所で同い年の中津鈴(なかづりん)さんに声をかけられる。
同い年だけど、学年は一つ上の大学二年生。
まぁ俺が浪人してるからよくあることだ。

「おはよう。そうだよ。中津さんと一緒の日だったんだね。」
「香織が風邪引いちゃって、代わりを頼まれたの。…急だったけど、藤川くんがいる日だから代わっちゃった♪」
「そうなんだ~。泉さん大丈夫かなぁ~…じゃあレジ入ってきます。」

一方的に話を終わらせて、レジへと向かった。

・・・中津さんが俺に気があるのは薄々感じてはいる。
さっきみたいに分かりやすいアピールしてくるし、よく遊びに誘われるし・・・
中津さんは可愛いというより美人って感じの子。
ここで長くバイトをしているらしく、入ってすぐの頃はよく仕事を教えてくれた。
好かれるのは悪い気がしない。
・・・でも俺は沙菜が好きだから、アピールされても今日のように流す。
鈍い男のふり。
今のところ鈍感だと思ってるみたいだけど、いつまで通じるかはわからない。
はっきり言われるまでは、このままの対応をしていくつもり。
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