愛しいキミへ
それからは、俺と由香利の2人の時間が始まった。

卒業式、沙菜にあげると言っていた制服の第二ボタン。
由香利にあげた。
「欲しい。」って言ったから、あげた。
彼女にあげるの断わるっていうのは変だし。

春休みは、毎日のようにデートだった。
誘いの連絡があるから、会いに行く。
俺から誘うことはなかったけど・・・由香利と一緒にいるのは、楽しかった。
いや・・・居心地が良い、の方が正しいかもしれない。
今まで想うだけの恋だったから、初めて想われる幸せを知った。

「好き」

言ってくれるが、俺が言うことを強要することはなかった。


別々の高校に通ったが、付き合いは続いた。

真新しい高校の制服を着た沙菜を見ると、胸が傷んだ。
その度に由香利と会った。
利用していた。

けど・・・
由香利といると楽だった。
好きかもって・・・思えた。
思えるが一人になると、自分を責めた。
この恋は偽ったものだから、由香利を見てるようで、見ていなかった。
見てるフリをした。
そうしなきゃ、由香利が離れていってしまう。
由香利がいるから、沙菜と悠兄に誘われなくなった。
デートで毎日忙しいって伝えてあるから。

この新しい恋で、やっと・・・諦められるかもしれないんだ。
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