お袋さん
今、大好きな人へ…
2006年12月23日土曜日。母倒れる。病名『クモ膜下出血』重症。

母は目は開けている。痛いとか眠いとか、多少の体の反応もある。でも…

感情がいっさい無いのだ。

笑いもしない、泣きもしない、怒りもしない。
気管支は切開され、声も出せないし、胃には穴が開けられチューブが挿し込まれて、そこから栄養ミルクを流されながら生かされている状態なのだから…

母は壊れてしまったのだ。
あの人なつこくて明るくて元気だった母は、
もう二度と…

私が母の声を最後に聞いたのは、倒れた日、救急隊員の人達が母を運び出してる途中、横向きの母が、突然嘔吐した時。

『ううっ』

少し苦しそうなそんな声でも、ちゃんと母の声だった。

倒れていた母の姿は、泣くのを忘れるほど哀しい姿ではあったけど、毛布を二枚肩までかぶって、決して痛みや苦しみに暴れたような様子も無く、

もう少し寝てようか…
と、そのまま記憶が無くなっていったかのようで…

それがせめてもの救いとなって、私の心に刻まれた。



< 1 / 2 >

この作品をシェア

pagetop