運命の弄び
……階下の居間に下りてくると、
すぐに朝ごはんの食パンの焼けた香ばしい匂いが漂ってきた。
テーブルにはきつね色の焼き色を見せた食パンと、野菜炒め、目玉焼き、牛乳がスタンバイされていた。
朝ごはんとしては軽目の部類だけど、
私の一家の朝ごはんはたいていこのメニューだ。

向かって左側の席には、すっかり会社に行く準備を済ませたお父さんが新聞広げて、
私やお母さんがテーブルにつくのを待っているようだった。
見慣れた朝の風景だ。

「おっはよ♪お父さん」

「ん。」

私が元気良く挨拶したのにお父さんは新聞見たまま、ただ一言だけ。
もうっ、せめておはようぐらい言ってほしいなぁっ。ま、いつものことなんだけどね。

…ややあってお台所からエプロン姿のお母さんが姿を見せた。

「おはよう♪お母さん」

「おはよう、真希。
さぁ、朝ごはんにしましょ。」

お母さんは笑顔で挨拶を返してくれた。
うんっ、やっぱり朝は元気よく挨拶交わすと気持ちいいよね。
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