運命の弄び
ある冬の日の決意-零二-

       3

「とっとと……やべぇ、
寝坊しちまったっ」

転げ落ちそうになりながら階段を慌ただしく下りる。
くぅ……なんて事だ、
まさか目覚まし代わりの携帯電話の電源が切れてるとは……。

くそっ、
あいつがあんなに長電話しやがるから……、
俺のは年代物だから電池の減りが早いんだっ!

……俺、瑞沢零二は昨晩、
幼なじみの千歳真希(仮名)氏に、
今日から学校に復帰する旨を伝えようとしただけなのに、
何であんな長電話になったのか……。
なんか妙に機嫌良かったしな。

飛び降り同然の勢い階段を下り切り、そのまま居間に飛び込むと、
そこには俺の家族がおすわりをしてじっと佇んでいた。

わんっ!

「よおっ、サラっ
待たせて悪かったな」

俺がサラと呼んだ愛犬は、
俺を見るなり足元に駆け寄って来た。
そんな家族を俺はしゃがんで抱き抱えて、
柔らかい毛並みを肌で感じながら頭を優しく撫でてやる。
すると、
サラは嬉しそうにふるふる尻尾を振ってくれた。
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