4年目の贈りもの[短編]
***
「…もう、遅い!」
記念日当日。
駅前で待ち合わせて、デートに行く予定だった。
なのに――…
絶対遅刻するな!って言い張っていた陵の方が、大遅刻。
その時、あたしが手に持っていた携帯が着信を告げた。
表示された名前は――井山 陵。
「もしもし?陵?」
「あっ、綺!
ごめん俺…寝坊しちゃって…」
その声に、今陵が走って来ているのが分かった。
そんな陵の姿を想像したら、なんか笑えてきた。
「記念日に遅れるとか、最低だよ、陵」
「マジでごめん!
すぐに行くからっ」
冗談とは知らず、必死に謝ってくる陵。
――本当に、こんな素直なとこ、好きだなあ。
「別に怒ってないよ。
待ってるね」