4年目の贈りもの[短編]
『綺ちゃん!』
病院に着いたあたしを出迎えたのは――和也くん。
「…陵…陵は?」
『…こっち』
俯いたままの和也くんに手を引かれ、後をついて行く。
向かった先は――手術室。
一瞬で、目の前が真っ暗になった。
「…な…んで?」
『陵、飛び出して車に引かれようとした子供を助けたんだ。
それで、自分が犠牲に――…』
そう言った和也くんの目は、真っ赤だった。
ふっと笑って、和也くんが上を向く。
『ほんとバカだよ…陵…っ』
その声が震えていたのは、あたしにも分かった。
涙が落ちないように、上を向いたことも気付いていた。
じっと和也くんを見つめていると、突然手術中のランプがぱっと消えた。
思わず、立ち上がり駆け寄る。