いとしのネコミミ騎士(ナイト)さま!! ~イケメン騎士軍団と砂の国~

「シュリはシュリなのに。肌の色が違っても、髪や目の色が他の人と違っても、シュリはシュリなのに!」

唇をかみしめる。


悔しかった。

悔しくてたまらなくて、思わず涙がにじんだ。


「そのとおりです。でも、悲しいことに、死に直面した人々はそれを受け止める余裕がなくなるんです。誰かのせいにしないではいられない。そうしなければ、死の恐怖に耐えられなくなる。誰かに責任を押しつけたくなるのです」


悲しい理由。

身勝手な理由。


でも、死ぬっていうことは、そんなこと構っていられないくらい怖いってこと?


「ラエル様の彫像を片づけたのも、そういった人の気持ちを波立たせないためなの?」

「ええ。ラエル様とシュリの姿はあまりに似すぎていますから。それなら、なおさら愛されるべきなんですが、彼は癒しの力を使えない。使えないのは魔族の血が勝っている証拠だと言われてしまう悪循環が起こるんです。

見た目が人と違っても、彼という魂は変わらない。それに、他と違うことは恥ずべきことじゃない」

「どういう意味?」



「それだけ『特別』だということですよ」
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