ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
それから、二人で本丸会館内でずんだシェイクを、お土産売場で水嶋家へのおみやを買い、飲みながら駐車場まで歩いた。

“ずんだ餅は、伊達政宗が作ったものらしい”と、シンが得意げに教えてくれた。

“ずんだ”とは、茹でた枝豆を潰し、砂糖を加えた餡のこと。
豆を打つ=“ずだ”が訛った説と、伊達政宗が、陣太刀(じんだち)の時に作ったのが“陣太(じんだ)”が訛った説があることも。

へぇ………そうだったんだ。

今までただ、“美味しい、美味しい♪”って食べてただけでした、アタシ。


「………ずんだなだけに、“豆”知識デシタ……ちゃんちゃん♪」


ん?


「………さすがは30歳、オヤジだね、シン」

「うっさいわっ!!」

二人でしばらく顔を見合わせ、飲みかけのずんだシェイクが噴き出すくらい笑い転げた。

そこには、目を小さく細めて笑う、いつもの彼がいた。




何の煩いもなく、このまま、ずっと楽しいトキが続けばいいのに………。
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