ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
「俺、もう、泣かせないから。今までの悲しい涙も、俺が、エリとの幸せで封じ込めてやるから―――――」
聞こえるか聞こえないかぐらいの囁き。
耳たぶに軽くキス。
耳にかかった吐息に感じたのか、一瞬、
「…んあっ………」
甘声と、“女”の顔―――――。
そして、直ぐさまエリの方から、俺と唇を重ね…………。
あっ………。
熱を帯びてて………。
涙の味がして………。
今年初め―――――。
仲直りした時。
地下鉄広瀬通駅の階段下でのキスを思い出す―――――。
そう。
あの時も、胸の奥に流れ込む程の、熱い、灼けるような、涙の味だった………。