ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】


「俺、もう、泣かせないから。今までの悲しい涙も、俺が、エリとの幸せで封じ込めてやるから―――――」


聞こえるか聞こえないかぐらいの囁き。

耳たぶに軽くキス。

耳にかかった吐息に感じたのか、一瞬、

「…んあっ………」

甘声と、“女”の顔―――――。

そして、直ぐさまエリの方から、俺と唇を重ね…………。


あっ………。

熱を帯びてて………。

涙の味がして………。


今年初め―――――。
仲直りした時。

地下鉄広瀬通駅の階段下でのキスを思い出す―――――。

そう。

あの時も、胸の奥に流れ込む程の、熱い、灼けるような、涙の味だった………。


< 318 / 755 >

この作品をシェア

pagetop