ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】


源六茶屋での美味しいランチ(といっても、もう3時だけど…)を堪能し、店を出る。


店の引き戸を開け、暖簾をくぐり外へ出た瞬間―――――――




ふわっ……………。




突風が吹き荒れ、西公園の桜たちが、一斉に風に乗って薄紅色のシャワーを降らせる。




「うわ…………キレイ………………」



アタシは思わず声を上げた。


空を見上げると、桜の花で埋め尽くされて、空が見えない―――――――。


降り注ぐ薄紅色のシャワーはまるで、雨のような桜吹雪……………。


アタシたち三人は、しばらくピンクに染まった空を仰いでいた。




「ホント………キレイ………なんか桜散っちゃうと、キレイだけど、寂しいよね………」


栞がぽつんと呟いた。




“キレイだけと寂しいよね”





いつもは、桜吹雪を見ても“キレイだ…”って思うのに、今のアタシには、“寂しさ”が募る。


薄紅の雨が強く降れば降るほど、寂しさが積もっていく―――――――。



髪に、肩に。


薄紅色の花びらは、風となって、雨となって、嵐となって、降り注ぐ。



“キレイだけと、寂しいよね”


栞の言葉がいつまでもリフレインしていた。







< 395 / 755 >

この作品をシェア

pagetop