ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
源六茶屋での美味しいランチ(といっても、もう3時だけど…)を堪能し、店を出る。
店の引き戸を開け、暖簾をくぐり外へ出た瞬間―――――――
ふわっ……………。
突風が吹き荒れ、西公園の桜たちが、一斉に風に乗って薄紅色のシャワーを降らせる。
「うわ…………キレイ………………」
アタシは思わず声を上げた。
空を見上げると、桜の花で埋め尽くされて、空が見えない―――――――。
降り注ぐ薄紅色のシャワーはまるで、雨のような桜吹雪……………。
アタシたち三人は、しばらくピンクに染まった空を仰いでいた。
「ホント………キレイ………なんか桜散っちゃうと、キレイだけど、寂しいよね………」
栞がぽつんと呟いた。
“キレイだけと寂しいよね”
いつもは、桜吹雪を見ても“キレイだ…”って思うのに、今のアタシには、“寂しさ”が募る。
薄紅の雨が強く降れば降るほど、寂しさが積もっていく―――――――。
髪に、肩に。
薄紅色の花びらは、風となって、雨となって、嵐となって、降り注ぐ。
“キレイだけと、寂しいよね”
栞の言葉がいつまでもリフレインしていた。