ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
「………ったくアイツら~」
“あちゃー”って顔して、ノブは額を手で覆った。
アタシの左手は握られたままだったが、振りほどけずにいた。
「……………センセ……してんの?」
「………あ、ああ。蔵高にこの4月から赴任したんだ。まだ教師になって二週間なんだ………」
「蔵高って………蔵王の?」
「そ。なかなか面白いガッコだよ」
蔵高こと、蔵王(ざおう)高校は、宮城県内屈指の雪深スポット“白石蔵王(しろいしざおう)”に位置する県立高校。
ノブ、そこでセンセ、してるんだ………。
「仙台は桜散りかけなのに、蔵王はまだ雪残ってんだぜ~。同じ宮城県なのにさ~」
ノブは楽しそうに笑って話した。
「あ、ゴメン………手………痛かったよな?」
そう呟き、彼は、握っていた手をゆっくり離した。
アタシは不思議に。
ノブを、以前ほど不快に思わなかった。