ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】


「手を引っ込めたら、その女がゆっくりと腕を伸ばし、20メートル位先を指を差し『あ………あそこでアナタの彼女が他の男とキスしてる………』って言うんだ」

ノブは腕を伸ばし、指差すジェスチャーをしながら話した。

「うん………」

思わず、ノブが指差す方向へと、首を後ろに回してしまった。


「その言葉に驚いて、思わず俺は指差す方向を見たんだ………。そしたら………」

アタシはノブのいる方へ首を戻した。


「そしたら、指差す先に誰もいなくて、その瞬間『スキあり!』って、その女は、借りようとした本を持って笑いながら逃げちゃって………。まあ、ものの10秒しないで捕まえたけどね」


ノブが捕まえた女性は、腰まである長いストレートの黒髪、透けるような肌の白さに似合う、少し切れ長な目の、キレイな顔立ちだったと言う。


“女優の栗山千明に、ちょっと似てたかな……”と、その彼女を例えていた。


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