ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】


「―――――俺、今日いきなり淳子さんから夕方、『大事な話があるから』って急に呼び出しくらってさ………。で、仕事終わってすぐにここに来ようとしたら、『“青葉まつり”の会議に出ろ』って上から急に言われて出るハメになって………。んで今頃の時間になっちまったんだけど………。まさかエリもいるとは思わなかったよ………」


“青葉まつり”とは、毎年5月の第3土日に行われるお祭り。
伊達政宗を祀るお祭りとして、今では「仙台七夕まつり」、「SENDAI光のページェント」とともに、仙台三大まつりの一つに数えられている。


そっか…もうすぐなんだ………。
………って、何そんな悠長なコトをっ!!


「アタシも、淳子さんに呼ばれて―――――」

………あ!!


「もしかして………」

シンが神妙な面持ちで呟いた。

多分、シンが思っているコトと、アタシの考えは…………。


「淳子さんが俺たちを逢わせたんじゃねぇか?」
「淳子さんがアタシたちを逢わせたんじゃない?」


同士に喋っていた。


二人、3秒くらい顔を見合わせて……それから。

「あははははははははっ!!!」


大笑いしちゃった。



「どっちみち、今夜逢う予定だったんだよな?」
「………そーだよね?」
「またエリに逢うチャンスが失くなったって、ガッカリしてたんだよ、俺」
「アタシだって!!………もう自然消滅かなっ……って……うっ………」


笑ったら笑ったで、アタシったら。

シンが目の前にいるってだけで、また泣けてきて。

身体中の水分全てが、涙に変換されているんじゃないかってくらい溢れて溢れて。


もう、今が夢でも天国でも何でもいいや。

ここにシンがいるってだけで、嬉しくて。

もう、それだけで…………。


「―――――バカ。まーた泣いてやがる………もう泣くなよ…」

「こんなに涙出ちゃうのは、シンのせいだよ!!……んだってぇ………アタシ………寂しかったよ………」

「―――――ゴメンな………寂しい思いさせて………。俺も、エリに逢いたくて逢いたくて、気が狂いそうだったんだから………」


そう言ってシンは、包み込むように優しく、子供のようにな泣きじゃくるアタシを抱き締めた。





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