ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】


アタシもシンに負けじと、営業時間終わってから1時間~2時間くらいは練習したり、アレンジ考えたりするようになった。

仕事帰りのシンをつかまえては、拝み倒して練習台になってもらったりしたっけ。
シンの場合は、仕事が仕事だから、ワインディングなんてできないから、なるべく響かないようなヘアスタイルで。


因みに、“ワインディング”とは、髪にロッドを巻く…つまりは、パーマを巻く動作のコト。

ホントは、シンの全ての髪にワインディング施してみたい…というイタズラ心はあったんだケドね。やったら怒られるから…。やりたかったなぁ………。




もともとアタシは、人の髪を弄(いじ)ったり、アレンジしたり、メイクしたりするのが大好きだった。

依生と実緒が幼稚園の頃からお母さんじゃなくて、だいたいアタシがカットしたり、アレンジしたりしてた。


それが楽しくて、楽しくて。


始めは、そんな単純なキモチでこの世界に入った。


国家試験受かるまでは、電車の中でロッドとペーパー持ってワインディングの練習したり、美容師法などの関係法規が憶えられなくて、単語帳トカ使って勉強したり。
それで帰りの電車、多賀城駅で降りなきゃいけないのに、なんと6駅先の松島海岸駅まで乗り過ごしたことも。←おバカ
時間があれば、松島海岸駅前の水族館…と思ったケド、すでに閉館時間。


ま、なんとか一発で合格できたからホッ。


つらいコト、いっぱい、いっぱいあるケド。
その分、楽しいコトもたくさんあって。
アタシのアレンジで、心から笑顔になってくれるヒトがいると、“やっててよかった”トカ、“もっともっと、上達したい”って思うの。


好きだから、ここまでやってこられたってのもあるよね?


お客様はもちろんのコト第一に。
やっぱ、なによりもキレイになって喜んでもらいたいし。
見た目美しくなると、心まで明るくなれるしね。


まずは、スタッフや淳子サン、シンにバカにされないよう、頑張らなくっちゃっ!!





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