2LDKのお姫様
10 聖京都革命(終)
懐かしい話をする時には、決まってベッドの中で行われたりする。

あれはいつのことだったか。

そうだ。確か、あの時。未だしゅいろが俺のバイト先の塾生で、彼女に随分手を焼いていた頃だろう。

『先生は彼女いるんですか』

講師を困らせる生徒は、大概共通点を持っている。とにかく、授業をどうにかして妨害してくる。その方法の一つが、謎の突発的な発言だろう。

『今は関係ないだろ。そんなこと』

その典型例がしゅいろだった。

彼女の悪業は目に余るものがあり、とにかく塾内での新人研修では、厳重要注意人物として挙げられていた。

普段は真面目そうにしているのだが、授業が始まったとたんに、それは行われた。

いったい、幾人の新人が彼女に泣かされたことか。数えるのも忍びない。

そんな問題児の担当に回された。それは、この塾では、地獄行きを宣告されたと同じであった。

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