2LDKのお姫様
『どぉして……』



息が凍る。



「いや1人じゃ危ないし」



優しくはある。



『そぅ………』



しかしあの二人に急かされたという本当の理由を聞いたら、多分怒るだろう。



………………………



「寒いね……」



帰り道、二人は暗い道をゆっくりと進む。



『私、ちゃんと作ってたのよ。なのにあの二人、何時も何時もお肉お肉って』



珍しく愚痴を溢す。



「あ、あぁ……。前からあんな人達だしね……」



まさか自分の肉を怒られるのかと焦ってしまった。



『本当に……困る……』



細い体に纏ったコートは闇に溶け、凍った酸素だけが星に重なる。



『あんまりあの二人を甘やかさないでね』



とシオリは苦く微笑んだ。



「うん……」



と大も苦く微笑み返した。



『そういえば今日のことまさかあの2人に話して無いわよね』



「ああ、大丈夫です。言うわけ無いですよ」



『………』



怪しいという目に少し怯えもしたが、2人は仲良く帰路を急ぐ。






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