学校イチのチャラ男と手錠∞でつながれちゃった女の子の物語(仮)
最後の角を曲がった時、深町京悟が眩しそうに目を細めた。
「桃ちゃん……出口だ」
「うん。出口だね」
「桃ちゃんの言ったとおりだったな……」
「え?」
「今日1日、ふたりして散々迷って、必死に鍵探してさ……。
簡単に見つからないからこそ、手に入れる喜びも大きいんだよな。
オレ……今日楽しかった」
深町京悟が言っているのは、きっと、あたしが屋上で言った言葉のことだ。
『すぐに出口が見つからないから楽しめるんじゃん。
同じところクルクル廻ってさ、汗かいて必死に出口探して……。
だけど、頑張ったからこそ、たどり着けた時の喜びも大きい』って。
たしかにあたしはそう言った。
「うん……そうだね」
と、彼に聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声で
あたしは静かにうなずいた。