*゚。スノードーム。゚*〜満ちてく、愛の砂〜



「あれ?」


私の視界に突如現れた黒い物体。

白い地面の上を黒い仔猫が佇んでいて、思わず駆け寄る。


「……飼い猫?」


首輪はしていない。辺りを見渡すと、電信柱の下に段ボール箱が置かれていた。


「捨て猫だ」


傘を閉じて、小さな身体の仔猫を抱き上げる。小刻みに震える仔猫を見て、私は下唇を噛んだ。


どうしよう……。


うちは市営住宅だからペットは飼えない。


だけどこんな大雪の中置いていったら、絶対に凍え死んじゃう。



容赦なく空から冷たい雪が落ちてきて、私も仔猫も真っ白に染められていく。



「どうしたの?」



< 2 / 472 >

この作品をシェア

pagetop