*゚。スノードーム。゚*〜満ちてく、愛の砂〜
「歩きにくい……」
浴衣って久々に着たけど、こんなにちょっとずつしか歩けなかったっけ?
紫の朝顔柄の浴衣に、黄色の巾着袋を持って、カラカラと下駄の音を立てながら待ち合わせ場所まで向かった。
そういえばこの花火大会も和人と約束してたんだよね……。
この間みたいに今日も、和人とバッタリ会ったりして……。
「ミー、こっち」
「ごめん。浴衣だと歩きにくくて、遅れちゃった」
待ち合わせのコンビニ前でリョウくんと合流した。
「私服と制服しか見てないから別人みてー」
「そう?」
「うん……かわいいじゃん」
「…………」
「黙んなよ!」
「キャ、キャラにもないこと言うからだよ!」
どどどうしよう。胃が痛い……。
かわいいって言われて、嫌な女の子なんていないけど、リョウくんに言われるとリアクションに困る。
だって気持ちを知ってる分、素直に喜べないし。一生懸命に言ってくれた言葉だから、冗談でも返せないんだもん。