*゚。スノードーム。゚*〜満ちてく、愛の砂〜
「藍ちゃん、最低だね」
いつの間にか私の目には涙がたまっていて、涙を流さないように、こらえるのが必死だった。
「大好きな人の赤ちゃんなのに、なんで黙ってそんなことできるの?」
「和人に言ったら、なんて言ってたと思う?」
え?
「最低だと思うよ。でも私だって、たくさん考えた。サクラちゃんには私の気持ちなんて分かんないよ」
「そんなの分かりたくもない! 藍ちゃんみたいな女の人になりたいって思ったけど、なりたくない!!」
たくさん悩んで、たくさん考えた結果、何でそうなるの?
藍ちゃんはため息をついて、真っ直ぐに私を見据えてくる。
「サクラちゃんが私の立場だったら、どうしてた?」
「産む。だって大好きな人の赤ちゃんでしょ」
「どうやって育てるの? 学校は? 親の了解は? 和人と結婚して二人で育てるって? 甘いよ」
甘い……?
「実際に、陽性反応が出た検査薬を見たことないくせに。喜びより、どうしようって思う自分がいるんだよ。サクラちゃんが言ってる言葉は、先を考えていない綺麗事だよ」
綺麗事……。バッサリ言われてしまった。言い返したかったけど、何も出てこない。
だって、藍ちゃんが言ってることは、悔しいけど、本当のことだったから。