君の音


「好きだ」






彼女の耳に唇を寄せ
振動を伝えた






驚いて顔をあげる彼女に
もう一度ゆっくり伝えた





「す き」







今まで…彼女は
どれだけの事をあきらめてきたのだろう。




泣いて、泣いて、
どれだけ我慢してきたのだろう。








「ミズキちゃん。
たしかに、聞こえないかも知れない…

でもさ…伝えることが出来るのは音だけじゃない。

字も、
表情も、
手話も、
振動も…

ほかにもいっぱい伝えることは出来るんじゃないかな?」






(本当に…本当に私でいいの?)





「フフッ、俺でいいの?」





(…もう!)






「俺と付き合ってください」






(うん。


…ありがとう。)







そっとキスをすると彼女は真っ赤になってうつむいた










< 43 / 49 >

この作品をシェア

pagetop