幸せは蜜の味

フリーマーケット

フリーマーケットは、古着がやっぱり多かった。
色々といいなぁ、と思う物もあったけど、次のスペースでもっといいのがあるかもしれないと思うと、

なかなか思い切れないんだよね…。
戻った時には売れちゃってるかもしれないけど、その時は縁がなかったんだと思って諦めよう。
ウロウロしているうちに、端っこまで来ちゃったみたい。
立ち止まって木の方に視線を向けると、その木陰で売り物を並べてる人がいるのに気付いた。
…あ、妊婦さんだ。
ゆったりしたワンピースを着てるけど、お腹がぽっこりと膨らんでる。
優しくお腹を撫でてる姿を思わず見てると、顔を上げたその人と目が合った。

「こ、こんにちは…」

ビックリして、つい挨拶したら、妊婦さんは笑顔で挨拶を返してくれた。
ほんわりした美人さんだ。
妊婦さんの側には誰もいない。
一人で来たのかな…?
お腹も大きいし、具合悪くなったりしたら大変だよね?
そんな心配が顔に出てたのか、妊婦さんは駐車場の方を指差した。

「夫と一緒に来てるから大丈夫よ。今は車の方に戻ってるだけ」
「そうですか…」
「ふふ。良かったら、見て行ってね」

そうだよね、散歩ならともかく、妊婦さん一人でフリマはないよね…良かった。
ホッとした私は、妊婦さんの誘いに頷いてスペースの前に屈み込んだ。
妊婦さんのスペースには、服もあったけど、ちょっと大人っぽくて私にはまだ似合わない感じ。
でも、小物はカワイイのがいっぱいで、見てるだけでも楽しい。
ビーズアクセサリーとか、ポーチとか、クッションカバー…すごいな、手作りだ。

「あ、コレ可愛い…」

和柄のケータイケース。
黒地に淡いピンクの桜が咲いてる。
着物の生地かな?
可愛いんだけど、高そう…。
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