サンタクロースに恋をする
(好きだからこそ、今は行けない。)


苦しい。


前のあたしが呆れたように囁く。


『なんで行かないの? ロイに好きな人出来るかも知れないよ? そしたらまたひとりぼっちだよ? 嫌われるかもね? そんな身勝手な女。あんた本当に馬鹿。』


(やめて...お願い。)


『僕...待つのは得意なんです。』


急にロイが言った。


『僕は咲さんに会ってから待つことに慣れたみたいです。いつも公園であなたを待っていました。あと一年ぐらい、待てますよ。』


『....っ。』


『だから泣かないで。待つ辛さなんてあなたが泣く事に比べれば些細な事です。』

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