輝かしい変貌
「あと一人じゃ!あと一人見つければ、お主の本当の力が出せるぜよ!」
今夜の夢の老人はやたらテンションが高かった。
「分かってます、しかしあなたから教えてはくれないでしょうか?手間が省けます」
高橋さんは恐る恐る聞いてみた。
「ダメじゃ!わしはロープレのゲームでいったらナビゲーターみたいなもんじゃぞ?仲間を集めるのは主人公の仕事と相場が決まっとろう!」
「いや、でもゲームじゃないし…大体あなた、その仲間の人の夢にも出てるんでしょ?」
「うん。」
「いや、うんじゃなくて。だったら回りくどいことしなくても教えてくださいよ」
「図々しいハゲじゃな… よいか、わしはお前に見つけてほしいんじゃ。勇者としての自覚を持ってもらうために。試練なんじゃ!」
「…もういいですよ。探せばいいんでしょ」
そこで高橋さんは目が覚めた。なんとも不快な夢だろう。ここ数ヶ月、眠りを妨害されてると言っても過言ではない。やり場のない怒りに高橋さんはそっと、涙を流していた…。
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