輝かしい変貌
その朝、高橋さんは母親の悲鳴にも似た怒声で目覚めた。
「いつまで寝てるの!仕事早く行きなさい!!」
高橋さんは寝ぼけまなこで出勤の準備を始める。
(…それにしても変な夢だったな)
昨夜見た夢が脳裏をよぎる。暗闇の中に一人佇む老人。いかにも仙人ぽい姿で語りかけてきた。
「お前は勇者だ。この国を変える義務がお前にはある。立ち上がれ、武器を取れ。お前の意志を理解する者と共に行くのだ」
確かにこの国は今、恐怖に包まれている。三年前に台頭した国王の村田さんは独裁者だ。そのため島民は限界まで追い詰められている。逆らえば死刑は毎日の様に行われ高い税金、島民への過度の負担…挙げればキリがないだろう。確かにこの島を変えたいが、オレには無理だろう…
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