輝かしい変貌

勇者の剣

栄町…名前に反して栄えておらず、農業、蓄業が盛んな町である。人口は過疎化の一途を辿っており、後継者問題で頭を悩ませている。都会からはだいぶ外れており、駅で降りた一行も無人改札に少々戸惑った。
「さて、着いたけど、どうしよう?」
「とりあえずこの町の町長さんに、ホントにそんな剣があるのか訊いてみるってのはどうすか?」
「名案だ!」
一同はちょうど向こうから歩いてきた老婆に話し掛けた。
「すいません、この辺初めてなんですが、ちょっと道を訪ねたくて…」
高橋さんが話し掛けた瞬間、老婆は疑わしい目つきで四人を眺め回してから言った。
「お前ら、タンポポは好きか?」
「は?」
高橋さんはいきなりの問いかけに目を見開く。
「タンポポは好きか?と訊いておる」
「はぁ…いいんじゃないですか?嫌いとかじゃないです」
「愛しているのか?」
「愛してるって…まぁ自然はいいですよね…癒されるし」
「…お前らに用は無い。今すぐ町を立ち去れ。クズ共が」
そう言い捨てると老婆は行ってしまった。
「なんだ?あの婆さんは…」
「なんか意味ありげでしたね」
宮川くんが答える。
「ちょっと気がおかしいんじゃないですか?もう歳もいってそうですし」
「だろうな、きっと」
更に進むと中年のおっさんが向こうから歩いてきた。
「あの人に訊いてみよう」
高橋さんはおっさんに近づき、尋ねる。
「すいません、この町の町長さんのお宅を教えて頂きたいのですが…」
「ああ、それだったらそこのデカい家がそうだよ」
指で指ししめられた所には大きな家が建っていた。
「そうでしたか、ありがとうございます」
一同はおっさんに礼を言い、その大きな家へと向かった。
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