鈴が鳴る時―王子+ヌイグルミ=少年―
(…いや、あきらかに怒ってるだろ…)

 そんな事を思いはするものの、決して口にはしない暁であった。

「あ」

「な、何よ?」

「俺、調べる事が出来たからちょっと夏章んとこ行ってくるわ」

「…あっそ。いちいち私に言わなくてもよくない?」

 つい生意気な口できいてしまう。

 だが、暁は急いでるのかあまり気にせずに直ぐ出て行ってしまった。

「…なんなのよ」

 いきなり来て、いきなり出て行って…

 暁の行動は勝手すぎる。

 でも、

 勝手に苛立っている自分が今のところ一番理解不能だけど。

 鈴音は軽く頭を振って、思考をリセットさせようとした。

 頭を振るたびに左右のツインテールが軽く揺れる。

 その時、ちらりと視界の隅に部屋の窓が入った。窓の向こうに気になるものまで映ってしまった。

(…今、誰かいた?)

 鈴音は首を傾げながら窓の傍に寄り、窓から下を覗き込む。

 鈴音の部屋の窓からはちょうどキッチンからの裏口が見えた。


 そこに、人が、いた。


 目深までフードを被った人がウロウロと裏口の周りをうらついている。

「なに、あの人…」

 ポツリと呟いた。

 するとその呟きが聞こえたかのように突然、人が上を―――部屋の窓を見上げた。

 突然の行動に対応が出来ず、ばったりと目が会う。

 人―――30代くらいの男が鈴音を見て…顔を歪めて笑った。

 その目の色が喜色に染まるのが遠くからでも分かる。

 ゾッとした鈴音はばっと窓から離れた。

 が、すぐに離れた事を後悔する。これでは男が見えないからだ。故に、男の行動も分からない。

 またすぐ窓際に戻ると男はいなくなっていた。

 そして…キッチンの裏口が開いているのが見えた。

(入って、きた…?!)
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