ケータイ恋愛小説家
そう思ったあたしは、


「出会い系? あたしもやりたーい! どのサイトなの? 教えてー!」


期待感たっぷりのキラキラの目で綾乃に尋ねる。


そこでようやく綾乃が顔を上げた。


「どしたの? 急に」


「え? 彼氏欲しいなって思って」


あたしはニッコリ笑ってそう答えた。

本当は小説の取材対象として、男の子と関わりたいだけなんだけど、そんなこと言えるわけがない。


あたしがケータイ小説書いてることは、家族はもちろん親友の綾乃にだって内緒なんだから。



「日向がそんなこと言うなんて、めずらしくない? てか、彼氏とか興味ないって、いつも言ってなかった?」


うっ……。

手ごわい。

さすが綾乃。

簡単には丸め込まれないか。


「えーと……ほらっ。 あたしももう高2だし? 夏休みまでには欲しいなって思ってさ」


なんかかなり無理のある言い訳だけど……


「ふーん」

綾乃はとりあえず納得してくれたようだった。

そして、あたしの目を真っ直ぐ見るとこう言った。
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