ケータイ恋愛小説家
先生と彼女
放課後の中庭。

試験前ということもあって、今は部活動も休みだし、生徒達はすぐに帰宅したのだろう。

そこにはあたし達の他は誰もいなかった。

あたしは校舎のすぐ側にある植え込みの裏の芝生に座り込んで、昨日の出来事を綾乃に報告していた。



「ふーん……。すごいこと言うなぁ……ハチ」


綾乃はくすくす笑いながら、からかうように言った。


「だよねぇ……。なんかつかみどころないし……。どこまで本気にすればいいかわかんないよ」


「んー。でもいいんじゃない? 今時そういう人、めずらしいよ。 最近の男ってさー。みんな受身なんだよね。自分からは告らないの。ずるいんだよ」


確かに……。

優柔不断だったり、何考えてるのかわかんなかったり。

男の子の気持ちがわからなくて不安だ……って相談を掲示板に寄せられることもめずらしくない。

携帯小説の中で、S男が人気なのはそのせいだよ。

女の子はちょっと強引な態度で自分をさらっていってくれるような……そんなシチュエーションに憧れてる。

だけど現実にはなかなかそういう男の子っていなくて……。

だから漫画や小説の世界に求めてしまうんだよね。

彼女が欲しいとかモテたいとか思ってる男の子は、少女漫画や携帯小説でも読んで女心を勉強して欲しい。

……なんて思ってしまうわたしは単純すぎるだろうか。
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