ケータイ恋愛小説家
優しい音色
アイスティーの入ったグラスを手に、カラカラと氷の音をさせながら自分の部屋に入る。


窓辺に吊るされた金魚柄の風鈴が視界に入る。

昨日、夏祭りで蓮君に買ってもらった風鈴。

真夏の昼間。

短冊を揺らすような風など吹いてくれるはずもなかった。

それでも、その音を聞いてみたくて、あたしはさっきからエアコンも入れずに窓を全開にしている。



「さて……と。やるか……」


自分を奮い立たせるために独り言をつぶやくと、机の上にグラスを置いて、イスに腰掛けた。

既に起動済みのパソコンから自分のサイトにアクセスする。

見慣れた向日葵の画像が貼ってあるトップページが開かれるまでの数秒間が、とてつもなく長く感じた。

久しぶりに開いたそれは何一つ変化はなくて、あたしはまるで住み慣れた我が家に戻ったような気がしていた。


そして大きく深呼吸……。


あたしはマウスを動かして掲示板をクリックした。
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