ケータイ恋愛小説家
「てか、意外だったな」


「え……?」


「誘っといてなんだけど……。まさか、ほんとに来てくれるとは思ってなかったんだよね」


え?

そうだったの?

ついて来たのは間違いだった?

これって、相当軽い女だって思われてるよね。

ち…違うの……。

あたしが部屋に入った理由はね……。


「なんつーの? ヒナちゃんって、純情キャラじゃん? だからさ」


やだ。

誤解されそう。

あのね…。

あたし……



あたし……


あたしは、じっと大輔君の顔を見つめた。


ちょっとの後悔と不安……それから極度の緊張にかられたせいか、涙腺が緩み、目がうるうるしちゃう。


「あたし……」


あたしはゆっくりと口を開いた。


「ん?」


大輔君は優しい目であたしの話を聞こうとしてくれてる。


あたしはうるんだままの瞳で大輔君の目を見つめ続ける。


「男の人のこと知りたいの……教えて?」

(小説のために……)


あたしがそう言った瞬間、なぜか大輔君の喉がゴクリと動いた。


そして……


「きゃ……」


両肩を掴まれたかと思ったら、そのまま一気に後ろに倒された。
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