ケータイ恋愛小説家
ダメ。

傷ついてる……なんて思われちゃダメだ。

余計みじめになる。


あたしはヘラッと笑った。


「えへぇ。やっぱり? あたしだって、それぐらいわかってるってば! ちょっと調子乗って喜んじゃったけど、身の程はわきまえてます!」


あたしはそう言うと、大きな口を開けて目の前のパフェをバクバクと頬張った。

そして大袈裟に喜ぶ。


「うん。ほんとこれ、おいしーね」


口を動かしていないと……

何か喋っていないと……

気が緩んで……今にも涙が出そうだったから。


こういう時、傷ついてないフリするのは得意。

昔からずっと美雨ちゃんの引き立て役だったんだもん。

平気平気……これぐらい。


あたしは急いでパフェを食べ終わると、今度はグラスの水を一気に飲み干した。


そして

「蓮君、ごめん。あたし今日はもう帰らなきゃ」

そう言って、鞄を手に取った。

もう、限界だった。

早くこのお店からも、蓮君の前からも立ち去りたかった。





お店を出て、遠慮がちに蓮君の一歩後ろを歩く。

その一歩がとても遠く感じて……

“手を繋ぎたい”なんて……きっともう、一生あたしの口から出ることはない気がした。



その時突然、蓮君の足が止まった。

あたしは不思議に思って蓮君の背中越しに前を覗き込む。



蓮君の前には、キレイな女の人が二人、並んで立っていた。

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