『叶えたいこと』

どうしちゃったの?

 「あ」
 「あ!」
 
 次の日、屋上に行くと、いつものように彼の姿があった。ちょっと極まり悪そうな笑顔。
 
 「どうしたの、昨日?急に姿見えなくなって」
 「あ、いや、急用を思い出しちゃって」
 「そうだったの?一言くらい言ってくれてもいいのに」
 「あ、ほら、武田君と話してたし、悪いかなって」
 「ふーん」

 そうしていつものように二人でお昼休みを過ごした。
 やっぱりいつものように彼はお昼ご飯を先に食べちゃってたけど。たまには一緒に食べてみたいのに。

 「そういえば、夢の話」
 「夢?」

 もう少しでお昼休みも終わりって頃に、彼が急にそんなことを言った。

 「そう。夢。少しは信じてみる気になった?」
 「あぁ夢、か。まだわかんない…けど」
 「けど?」
 「ちょっとは信じてもいいかなって。最近、学校楽しいし」
 「そうかぁ。よかった」
 「なんか、ありがとう」
 「どういたしまして」

 すごく嬉しそうな笑顔。
 あぁ、こういう笑顔いいな。
 
 あたしもこういう笑顔が出来たら、ちょっとは違うのかな。
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