上手なフラれ方
除夜の鐘
神社からかすかに洩れる明かりが、階段を淡く染めていた。

夜の10時だった。

僕は階段を昇り、北村麗華と約束した場所へ向かっている。


理沙と別れた後、会場を出た僕はすぐ北村麗華に電話をしていた。




「北村先輩、今から会えませんか?」


「今からですか?」

北村麗華は戸惑った声を出した。時刻は16時過ぎだった。

「これから少し予定があるので、すぐには難しいですけど……では、夜の10時頃はどうですか? せっかくですから除夜の鐘を聞きに行きましょうよ」




僕は返事をし、北村麗華の自宅の近くだというお寺で会う約束をした。


そして僕は今、その場所へ向かっている。

だけど、心の中に不思議な感情がうごめいていた。
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