君がいた部屋~二階階段前倉庫~


この前の美少年はあたしの方に駆け寄ってきた。


「俺のこと覚えててくれたんだ。」


「先輩こそ覚えててくれたんですね。」


「そりゃ忘れるわけねぇよ。なぁ美羽ちゃん今から暇?」


「今から、ですか?」


あたしは竜のことを考えた。


今から謝りに行くところだ。


でも、


「大丈夫です。」


竜のいるあの部屋は、すぐそこだ。


今行ったところで、井川先輩がいるからあの部屋は出てこない。


「マジで?じゃあさ、今から何か食べに行こう。」


「…ご飯ですか?」


「嫌?」


「そうじゃなくって、あたし、今お金持って無くって。」


「俺おごるからからいいよ。」


「だったらいいです!そんなの悪いですから。」


「いいって、な?行こう?気にしなくていいから。」


そう言って井川先輩はあたしの手首掴んで引っ張ってった。


今度は、右の方。


たまたまだけど、安心した。


この人に、リスカした事ばれたくない。




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