君がいた部屋~二階階段前倉庫~


あたしは上を見た。


そしたら…


「ひゃっ」


水が落ちてきた。


大量の水。


あたしはびしょ濡れだった。


制服も髪も、全部濡れてしまった。


すると上から笑い声がした。


決して上品とは言えない、笑い声が。


あたしはもう一度上を見た。


そこにいたのは、浅間実穂と、浜崎早苗と、坂田真紀、


あと…





あたしは上を睨み付けた。


その様子を見て、4人は更に笑う。


やがて浜崎早苗と坂田真紀が言った。


「どしたの、三神さん?びっしょびしょ!アハハ…」


「でも、超似合ってる。明日からその状態で来れば?手伝ってあげるから。」


坂田真紀がそう言い終えると、4人はまた笑った。


あたしは無様な自分を見た。


酷い以外、言い様がなかった。


だが、それよりも酷い事があった。


桜…


あたしは上で笑ってる桜が信じられなかった。


今の桜は、いつもみたいに明るく笑わない。


今の桜は、いつもみたいに優しい子じゃない。


その事は


全身が濡れる事よりも、


嫌だった。


< 68 / 231 >

この作品をシェア

pagetop