サガシモノは、愛ですか?(仮)
3:偽家族

「ただいま」

「さあやちゃんお帰りなさい」

パタパタと玄関まで

おかあさんが

走ってくる。


いっつもこうやって


『お帰りなさい』


何かの儀式みたいに

わたしを

笑顔で、出迎える。


別にそんな事しなくていいのに。


「今日は遅かったね」

「あ……」


門限は21時。

今は21時半を少し過ぎている。


「お父さん、待ってらっしゃるわよ。

あとはさあやちゃんが揃えば

夕御飯開始!」

「……ごめんなさい。帰り遅くなりました」


「んーん。いいのよ。リクから聞いてる。

今日学校でツリーの点灯式があって

『なんか友達と凄い盛り上がっていた』

って、言っていたから。

イルミネーション良いわよね

私も見に行きたかったなあ

今週末、けやき坂にお買い物行っちゃおっか」


「リク……?」

「もー、あの子

今日はちゃんと帰ってきたの

だから五人で御飯。

お父さんも喜んでるわ」


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