秘密の片思い
「郁斗?」


郁斗に見つめられて戸惑う。


「愛、ごめんな」


優しく言われた愛は涙が出そうだった。


「な、何を謝るのよ 郁斗のせいじゃないってば」


そう言うと無理やりおかゆを口の中へ入れた。




しばし沈黙の後、郁斗が大きな声を出した。


「忘れてた!味噌汁も作ったんだ」


まだお味噌汁を出していない事に気づきキッチンに行った。


「ほら、具沢山だから栄養たっぷりだぞ」


愛の目の前に具沢山のお味噌汁の入ったおわんが置かれた。


本来ならば味噌の良い香りなのだろうがその香りに息を止めた。


たった今食べたおかゆが戻ってきそうなのを堪える。


「うっ」


手を口元に置き、堪えきれずトイレに駆け込んだ。


「愛!?」



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