秘密の片思い
涼子と食事を終えてマンションの玄関を入った時、バッグの中の携帯が鳴った。


この着メロは郁斗のものではない。


(誰だろう・・・・)


愛は慌ててバッグの中から携帯を取り出した。


画面に表示されているのは祐一郎の名前だった。


「もしもし?」


電話に出ると前のようにしたしげに「祐?」とは言えなかった。


『愛、言い忘れた事があってかけたんだ』


「う、うん・・・」


『愛、あの時の事をずっと謝りたかったんだ 俺も仁美とうまく行っているから気にしないで幸せになれよな?いい男を捕まえたんだから』


祐一郎の優しさが愛の胸に伝わってきた。


心の中が温かくなる。


そして涙が出てきて頬を濡らした。


< 320 / 646 >

この作品をシェア

pagetop