秘密の片思い
「なんでもないよ?気のせいだよ」


やはり愛は顔を上げない。


「・・・愛」


郁斗の指が愛のあごにかかりそっと上を向かせた。


「! ・・・泣いていたのか?」


泣きはらしたような目に郁斗は眉根を顰めた。


「・・・・」


愛は郁斗の手を振り払ってそっぽを向き郁斗の脇を通ろうとした。


「愛!」


「ごめん・・・今は・・・冷静に話せない・・・」


郁斗に着替えを押し付けて郁斗から愛は逃げた。


「っ・・・どうしたって言うんだよ」


訳が分からないまま風呂になんか入れるか、


郁斗は愛を追いかけた。


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