秘密の片思い
* * * * * *
「郁斗?」
愛が目を覚ますと部屋の中は明るく、郁斗は出かける仕度をしていた。
「あ?起こしてごめん 今日から練習なんだ」
ベッドの上に身体を起こした愛。
「そうだったね 練習がんばってね」
「今日は一日ベッドから離れるなよ?それに考え事は絶対に駄目だからな?日菜が持って来た本でも読んでゆっくりしていろよ?」
「うん わかってる・・・・」
郁斗がベッドの端に腰をかけ愛の目にかかった髪を優しく払う。
トクン
郁斗の優しい眼差しは高校の時にはなかったもの。
「愛している 行ってくるよ」
事故前ならキスを交わしているのだろうが・・・。
郁斗は笑顔を向けて元気よく立ち上がった。