死言数
駅から会社までは五分ほどで着く。その時間ですら、今の明菜には長く感じた。怖くて、怖くて仕方がない。
「あぁ、もう。」
ヒールの高さにいらつく。もう少し低いヒールを履いてこれば、もっと、もっと早く歩けるはずだ。それなのに、こういう日に限ってピンヒールなんかを履いてきている。明菜の取る行動は、いつも裏目、裏目になってしまう。
嫌になった。
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