雨上がりの月夜に
「じゃあ、またね。」

「じゃあ、また、また来るよ。」

またねのキスを終えた後、電車に揺られながら
「そうか、借金の為に、そんなことが現実にあるんだ…そうか……。」

虚ろな目で電車の椅子にもたれかかりながら、そんな思いがぐるぐると巡っていた。

外は雨が降り始めていた。

どんよりとした雨雲が私の心をより一層雲らせた。

晴々とした気分ではないのは飲めない酒を久しぶりに飲んだせいではない。

彼女はまだ19歳だ。
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