雨上がりの月夜に
私は弱い人間だ。
生憎財力も精神力もどちらも飛び抜けているとは言い難い。
それに付け加え行動力に至っては人並み以下と言って断言できる。
こんな人間が果たして彼女の願いを叶えてやる事などできるのか。

本来望んでいる彼女の姿に。

いつか言っていた彼女の言葉を思い出す。
「私ね、恋の歌は嫌いなの。今の自分にはとてもそんな事叶いそうにないから。」
私の『どんな歌が好きなの?』と言う問いかけに返ってきた言葉だ。
< 31 / 45 >

この作品をシェア

pagetop